「チャンピオン防衛、波乱のオープニング」全日本スーパーモト選手権シリーズ 第1戦SUGO レースレポート2023年、新たにTM Racing Japan Supermotoが結成。全日本スーパーモト選手権の全6戦でレースレポートを掲載してまいります。【全日本スーパーモト選手権とは】 国内最高峰のスーパーモト競技会。シーズンを通して日本各地の6ヶ所のサーキットを転戦し、各大会のレース結果によって獲得するポイントの合計値で年間チャンピオンを決定します。各大会では予選の後、ヒート1、ヒート2と決勝戦が2回開催されるため、表彰式も2回開催されます。舗装路面のオンロード(ターマック)と未舗装のオフロード(土や砂の上)の両舞台を堪能できることや、選手との距離が近く、迫力あるレースを間近で見られることもスーパーモトの特徴のひとつ。TM Racing Japan Supermotoからは、2022年S1 Proクラス王者の小原堅斗(#1)、新沼伸介(#8)、廣瀬彰信(#10)が国内最高峰となる「S1 Proクラス」に、当社うえさか貿易の代表を務める梅田祥太朗(#40)がS1 Proへの昇格をかけた「S1 OPENクラス」へシリーズ参戦いたします。新チームとして精一杯努力して参りますので、ご声援いただけましたら幸いです。全日本スーパーモト選手権シリーズ Rd.1 レースレポート4月16日 宮城県スポーツランドSUGO国際西コースS1 Proを戦う小原、廣瀬、新沼昨シーズンの全日本スーパーモト選手権は、波乱であった。2019年から3連覇を続けた日浦大治朗(Team S.T.F.)が王者から陥落。オフロード競技であるモトクロス出身の小原堅斗が初の栄光を手にした年だった。長く続いた強豪ホンダ勢の時代は、この2022年を節目に変わっていくのか否か。小原は、この新しいシーズンからマシンをTM Racingへスイッチしてタイトル防衛に挑む。小原が駆るマシンはTM Raicng SMK 450 ES Fi 4T。世界的にも珍しくスーパーモト専用のマシンとしてメーカーがリリースしているマシンで、ホイールやエンジン、フレームに至るまでスーパーモトのために設計され、選手権を戦うライダーが乗ることを前提にしており、そのコーナリング性能とマシンパワーは世界的にも随一のポテンシャルを秘めている。小原は初戦となるSUGOに向け、このマシンを完全に手中に収めることが難しく開幕に不安を抱えていた。↑TM Raicng SMK 450 ES Fi 4Tと小原(photo by ささきてつお さん)「TMは車体がコンパクトに仕上がっています。他社と比べてホイールベースが短めに設定してあり、コーナリング性能は非常に高い。パワーもしっかり出ているし、加速力も格段に高いです。戦闘力がある分シビアなバイクなんです。だからどう練習して、どう身体を作っていくか、セッティングをどうするか、今からいろんなことを考えています」と小原は開幕前に言う。同じくTM Racing Japan SupermotoからS1 Proに参戦する47歳の新沼は、今年の目標を表彰台に据えた。「去年はヒート1の最後までしか体力がもたなかったので、体力の向上が課題です。筋トレをしっかりすることで新しいマシンにも慣れていきたいと考えています。これまでのベスト順位は5位、年間ランキングが8位ですから、今年はランキング5位以内に入り、1回は表彰台に乗りたいですね」とその意思は明確だ。日本のスーパーモト黎明期から選手権を追いかけているベテランの廣瀬は、「去年までは僕がチームのリーダーをやっていて、宿の手配とかもやっていたんですが、もう自分のことに集中させて欲しい(笑)と思いまして。6年チームの面倒をみてきたんで、今年は相談役です」とのこと。ドライ&フルターマック、ロードレースのような様相へ開幕の舞台は、国際公認格式のカートコースであるスポーツランドSUGOの国際西コース。前日まで降った雨の影響でオフロードセクション(ダートやグラベルとも呼ぶ)が、乾かないまま決勝日を迎えてしまった。選手を交えたミーティングで、それでもダートを使うのか、フルターマックのレースにするのか話し合われた結果、この開幕ではフルターマックと裁定されることに。モトクロス出身、ダートが得意な小原にとって、自身の能力を最大限に活かせないレース状況に立たされた。タイムアタック形式でおこなわれたグリッド予選は、小原が出走16台中最下位というまさかの結果。小原は「自分では問題ないと思っていたのですが、マシンにもレインタイヤにも慣れていなくて空気圧にも悩みながら臨んだ結果、攻めることができませんでした」と悔やむ。小原自身、走れないとは言ってもそこまでリザルトが落ち込んでしまうことに驚愕した午前だった。スーパーモトの場合はロードレースと同様に3台ずつ列に並ぶグリッドスタートであるため、最下位は最後尾のスタートになってしまうのであった。ポールポジションは実力通り日浦に。新沼は11位、廣瀬は12位。新生TM Racing Japan Supermotoにとって苦しい立ち上がりである。決勝のレース1は、Team Technixから出走している吉田雄一がホールショット。序盤のうちに日浦がトップを奪うことで圧倒的に有利なレース展開へ書き換えていく。決勝からスリックタイヤを履いた小原はチャンピオンたるペースを回復することができ、オープニングラップの間に10番手まで順位を回復して怒濤の勢いを見せた。最終ラップには日浦につぐベストラップである44秒519をマーク、全15周のうちに5位まで追い上げレースを終える。廣瀬はスタート時のクラッシュに巻き込まれたことで苦しい展開になってしまうが、集団に追いつくところまでペースを回復することができた。新沼は第3グループあたりで9番手争いに。パッシングが難しいSUGO西コースで前走のペースに翻弄され共に苦戦を強いられ、2集団まで追いつきたいところだったが、新沼9位・廣瀬13位の結果に。レース1の結果はレース2のグリッド順に反映されるため、小原はいよいよ巻き返しのチャンスを掴むことになる。↑メカニックがコースの天候や状況に合わせてマシンの調整を行ったり、休憩中にチームでレースの戦略を相談したりと、個人戦でありながらもチーム力が非常に求められる。↑ピット(ライダーが待機したり作業を行うエリア)の様子。スポンサー様の旗や製品を掲げてPRすることもレーシングチームの役割。ホンダ勢を攻略できるか、小原に課せられた開幕レース2の復調逆境のレース1から、まずまずのスタートグリッドを手に入れた小原だったが、レース2のホールショットは日浦。これに続いたTeam S.T.F.の長谷川修大、田所隼らが揺るぎないトップ3を形成。序盤は日浦VS長谷川のチーム内デッドヒートになったものの、日浦が抜け出してレース1同様に独走態勢へ。小原はその背後につけるものの徐々に前後のリードが拡大して単独走行を強いられ、4位でレースを終える。新沼もレース1よりも好調、スタートの8番グリッドから7番手まで順位を上げて「これはいけるな」という手応えを感じたという。一人パスされてリズムを崩すものの意地を見せる新沼。この時に背後に付かれたのは昨年ランキング5位の金子和之だったが、これをゴールまで凌ぎきって8位でゴール。廣瀬はスタートをミスしたことでペースをあげられず、12位でのフィニッシュとなった。小原堅斗「朝の予選はいつも練習で走ってきた茂原や桶川よりも低い気温でレインタイヤだったこともあって、怖がっていたのかなと自己分析しています。自分の中でもここまで下がってしまうんだとびっくりしました。予選で失敗したものの、決勝のレース1ではスリックタイヤで自信を持てたこともあって、強い気持ちで追い上げ5位まで回復できました。ここはまずまずよかったのかな、とも思います。レース2はついていこうと思っていたのですが、やはりバイクのセットアップが出てなかったことが一番の敗因ですね。僕が育ったモトクロスでは、セットアップにそこまでシビアでは無かったんですが、スーパーモトでははっきりその善し悪しが出てしまうんだなと。バイク自体はしっかり向き合えば結果を出せるバイクです。課題が見えたという点では、次に繋がるレースにはなったかなと思います」新沼伸介「レース1はペースの上がらない前のライダーを抜くことができなかったです。抜き方をもっとうまくならないとダメだなと感じましたね。レース2も悔しい結果でした。抜きづらいSUGOでさらにフルターマックなので、予選が大事だということはわかっていたので…本当に悔しいですね。予選はメッツラーのレインタイヤ(RACETEC™ SM RAIN)の性能を使いきれなかったという反省もあります。天候によって刻一刻と変化する路面状況に合わせた走行練習も今後取り入れたいですし、バイクにももっと乗り込まないといけませんね」廣瀬彰信「予選で失敗しちゃったのが、尾を引いてしまいました。スタートは2回とも失敗しちゃって、結果に繋がりませんでしたね。人間は乗れてはいたんですが、前の集団に食いついていけなかったのが最大の敗因だなと思っています。第2集団に必ずいなければいけないんですが、かないませんでした。今年は入賞圏内に入りたいと思っているので、次戦にしっかり繋げたいです」S1 OPENデビュー戦、梅田は12、10位と健闘を見せる昨年S1チャレンジ S1 OPENクラスのタイトルをものにした梅田はスーパーモトA級ライセンスへ昇格、全日本格式の登竜門S1 OPENクラスへデビューすることに。(*)初戦はシングルフィニッシュを目標としていた梅田は、TMのイン側に入りやすい特性をうまく利用することで上位勢をパッシングしていき、レース1は12位、レース2は10位とシングルには1歩及ばなかったものの次戦に期待がかかるリザルトに。(*)参考:MFJ公式サイト「始めようモーターサイクルスポーツ」>「スーパーモト」梅田祥太朗「自分の課題としては、SUGOってすごく抜きづらいんですよ。前が詰まっていて、タイム的にもコンマ数秒自分のほうが速かったんですけど抜けなかったですね。TMはインにライン1本分くらい切れ込んでいけるハンドリングで、小回りが効きやすいですし、そういうところをうまく活かしていければいいのですが、パッシングテクニックをもっと磨いていく必要がありますね。車速を乗せて立ち上がりで抜くというような、そういうパッシングをクレバーにやっていければよかったのかなと思います。このクラスはトップ3がめっちゃ速いんで、あの3人のうち一人でも落とせれば、どこかで表彰台も狙えるかなと希望は持てるレースでした」【2023 全日本スーパーモト スケジュール】第1戦 4月16日 宮城県 スポーツランドSUGO第2戦 5月21日 熊本県 HSR 九州第3戦 6月10日 福島県 エビスサーキット第4戦 7月23日 千葉県 茂原ツインサーキット第5戦 9月17日 奈良県 名阪スポーツランド第6戦 10月15日 愛知県 美浜サーキット【Youtubeにてレース動画を公開中】ウブリアーキチャンネル →SUGO大会動画全力バイク! EXPLORERS (エクスプローラーズ) →SUGO大会動画【本件に関するお問い合わせ】株式会社うえさか貿易PR担当 info@tmracing.jp